图书课件

原版影视

日语mp3

列岛趣闻

翻译专栏

 

 
   
 

 

浮雲 1


 二葉亭四迷

日本語スクリプト

著者名 : 二葉亭四迷

浮雲はしがき

薔薇の花は頭に咲いて活人は絵となる世の中独り文章のみは黴の生えたちんぷんかんの四角張りたるに頬返しを付けかねまたは舌足らずの物言いを学びて口に涎を流すは拙(つたな)しこれはどうでも言文一途の事だと思い立っては矢も盾もなく文明の風改良の熱一度に寄せ来るどさくさ紛れお先まっくら三宝荒神さまと春のや先生を頼み奉り欠け硯に朧の月の雫を受けて墨摺り流す空のきおい夕立の雨の一しきりさらさらさつと書き流せばアラ無情(うたて)始末にゆかぬ浮雲めが艶(やさ)しき月の面影を思いがけなく閉じこめて黒白も分かぬ烏夜玉(うばたま)のやみらみっちゃな小説ができしぞやとわれながら肝をつぶしてこの書の巻端に序するものは
明治丁亥初夏
                                                        二葉亭四迷 
 

 

第一篇

 

第一回 アヽラ怪しの人の挙動(ふるまい)

千早振る神無月ももはやあと二日の余波(なごり)となッた二十八日の午後三時ごろに、神田見附の内より塗渡(とわた)る蟻、散る蜘蛛の子とうようよぞよぞよ沸き出でて来るは、いずれも顋(おとがい)を気にしたもう方ゞ。しかしつらつら見てとくと点検すると、これにも種々種類のあるもので、まず髭から書き立てれば、口髭、頬髭、顎の髭、やけに興起したナポレオンの髭に、狆の口めいたビスマルク髭、そのほか矮鶏(ちゃぼ)髭、狢髭、ありやなしやの幻の髭、濃くも淡くもいろいろに生え分かる。髭に続いて差(ちが)いのあるのは服飾。白木屋仕込みの黒物ずくめにはフランス皮の靴の配偶(みょうと)はありうち、これを召す方様の鼻毛は延びて蜻蛉(とんぼ)をも釣るべしという。これより降(くだ)っては、背皺よると枕詞の付く「スコッチ」の背広にゴリゴリするほどの牛の毛皮靴、そこで踵にお飾りを絶やさぬ所から泥をひく亀甲(かめのこ)ズボン、いずれも釣るしんぼうの苦患(くげん)を今に脱せぬ貌(かお)つき、デも持ち主は得意なもので、髭あり服ありわれまたなにをかもとめんとすました顔色で、火をくれた木頭(もくづ)とそっくりかえってお帰りあそばす、イヤおうらやましいことだ。その後より続いて出ておいでなさるはいずれも胡麻塩頭、弓と曲げても張りの弱い腰に無残や空弁当をぶらさげてヨタヨタものでお帰りなさる。さて老朽してもさすがはまだ職に堪えるものか。しかし日本服でも勤められる手軽なお身の上、さりとはまたお気の毒な。
途上人影のまれになったころ、同じ見附の内より両人(ふたり)の少年が話しながら出てまいった。一人は年齢二十二、三の男、顔色は蒼味七分に土気三分、どうもよろしくないが、秀でた眉にきっとした目つきで、ズーと押しとおった鼻筋、ただ惜しいかな口もとがちと尋常でないばかり。しかし締まりはよさそうゆえ、絵草紙屋の前に立っても、パックリあくなどという気づかいはあるまいか。とにかく顎がとがって頬骨があらわれ、ひどくやつれているせいか顔の造作がとげとげしていて、愛嬌気といったら微塵もなし。醜くはないがどこともなくケンがある。背はスラリとしているばかりでさのみ高いというほどでもないが、痩肉(やせじし)ゆえ、半鐘なんとやらという人聞きの悪いあだ名に縁がありそうで、年数物ながら摺畳皺(たたみじわ)の存じた霜降り「スコッチ」の服を身にまとって、組み紐を盤帯(はちまき)にした帽檐(つば)広な黒ラシャの帽子を載いてい、今一人は、前の男より二ツ三ツ兄らしく、中肉中背で色白の丸顔、口もとの尋常な所から目つきのパッチリとした所はなかなか好男子ながら、顔だちがひねてこせこせしているので、何となく品格のない男。黒ラシャの半「フロックコート」に同じ色の「チョッキ」、ズボンは何か乙な縞ラシャで、リュウとした衣装付け、縁の巻き上がった釜底形の黒の帽子を眉深にかぶり、左の手を隠袋(かくし)へ差し入れ、右の手で細々した杖をおもちゃにしながら、高い男に向かい、
「しかしネー、もし果たして課長がわが輩を信用しているなら、けだしやむを得ざるに出でたんだ。なぜと言ッて見たまえ、局員四十有余名と言やア大層のようだけれども、みんな腰の曲がッた老爺(じいさん)にあらざれば気のきかない奴ばかりだろう。そのうちで、こう言やアおかしいようだけれども、若手でサ、原書もちったアかじっていてサ、そうして事務を取らせて捗(はか)のいく者と言ったら、マアわが輩二、三人だ。だからもし果たして信用しているのなら、やむを得ないのサ。」
「けれども山口を見たまえ、事務を取らせたらあの男ほど捗のいく者はあるまいけれども、やっぱり免を食ったじゃアないか。」
「あいつはいかん、あいつはばかだからいかん。」
「なぜ。」
「なぜと言って、あいつはばかだ、課長に向かってこないだのような事を言う所を見りゃア、いよいよばかだ。」
「あれは全体課長が悪いサ、自分が不条理な事を言い付けながら、何もあんな頭ごなしにいうこともない。」
「それは課長の方があるいは不条理かもしれぬが、しかしいやしくも長官たる者に向かって抵抗を試みるなぞというなア、ばかの骨頂だ。まず考えて見たまえ、山口はなんだ、属吏じゃアないか。属吏ならば、たとい課長の言い付けを条理と思ったにしろ思わぬにしろ、ハイハイって言ってその通りに処弁していきゃア、職分は尽きてるじゃアないか。しかるにあいつのように、いやしくも課長たる者に向かってあんな差図がましい事を………」
「イヤあれはさしずじゃアない、注意サ。」
「フム乙(おつ)う山口を弁護するネ、やっぱり同病相あわれむのか、アハアハアハ。」
高い男は中背の男の顔をしり目にかけて口をつぐんでしまッたので談話がすこしとぎれる。錦町へ曲がり込んで二ツ目の横町の角までまいった時、中背の男はふと立ち止まって、
「ダガ君の免を食ったのは、弔すべくまた賀すべしだぜ。」
「なぜ。」
「なぜと言って、君、これからは朝から晩まで情婦のそばにへばり付いている事ができらアネ。アハアハアハ。」
「フフフン、ばかを言いたもうな。」
ト高い男は顔に似気なく微笑を含み、さて失敬の挨拶も手軽く、別れて独り小川町の方へまいる。顔の微笑が一かわ一かわ消えゆくにつれ、足取りも次第次第にゆるやかになって、ついには虫のはうようになり、しょんぼりと頭をうな垂れて二、三町ほどもまいッたころ、ふと立ち止まりてあたりをみまわし、駭然として二足三足立ち戻ッて、トある横町へ曲がり込んで、角から三軒目の格子戸作りの二階家へ入る。いっしょに入ッて見よう。
高い男は玄関を通り抜けて縁側へ立ち出でると、傍の坐舗(ざしき)の障子がスラリあいて、年ごろ十八、九の婦人の首、チョンボリとした摘まみッ鼻と、日の丸の紋を染め抜いたムックリとした頬とで、その持ち主の身分が知れるという奴が、ヌット出る。
「お帰んなさいまし。」
トいって、なぜか口なめずりをする。
「叔母さんは。」
「さっきお嬢さまとどちらへか。」
「そう。」
ト言い捨てて高い男は縁側を伝ってまいり、突き当たりの段梯子を登ッて二階へ上がる。ここは六畳の小坐舗一間の所に三尺の押入れ付き、三方は壁でただ南ばかりが障子になッている。床に掛けた軸はすみずみもすでに虫ばんで、床花瓶に投げ入れた二本三本の蝦夷菊は、うら枯れて枯れ葉がち。坐舗の一隅を顧みると古びた机が一脚据え付けてあッて、筆、ペン、楊子などをつかみ插しにした筆立て一個に、歯みがきの函と肩をならべた赤間の硯が一面載せてある。机のかたわらに押し立てたは二本立ちの書函(ほんばこ)、これには小形のランプが載せてある。机の下に差し入れた縁の欠けた火入れ、これには摺付木の死体が横たわッている。そのほか坐舗いっぱいに敷き詰めた毛団(けっと)、衣紋竹(えもんだけ)に釣るした袷衣(あわせ)、柱の釘にかけた手ぬぐい、いずれを見ても皆数年物、その証拠には手ずれていて古色蒼然たり、だが自(おのずか)ら秩然と取りかたづいている。
高い男は徐(しず)かに和服に着替え、脱ぎすてた服を畳みかけて見て、舌鼓を撃ちながらそのまま押入れへへし込んでしまう。所へトバクサと上がッて来たのは例の日の丸の紋を染め抜いた首の持ち主、横幅の広い筋骨のたくましい、ズングリ、ムックリとした生理学上の美人で、持ッて来た郵便を高い男の前に差し置いて、
「アノーさっきこの郵便が。」
「ア、そう、どこから来たんだ。」
ト郵便を手に取って見て、
「ウー、国からか。」
「アノネあなた、今日のお嬢さまのお服飾は、ほんとにお目にかけたいようでしたヨ。まずネ、お下着が格子縞の黄八丈で、お上着はパッとしたいゝ引縞の糸織りで、お髪はいつものイボジリ巻きでしたがネ、お掻頭(かんざし)はこないだ出雲屋からお取んなすったこんな」
とわざわざ手で形をこしらえて見せ、
「薔薇の花掻頭でネ、それはそれはお美しゅうございましたヨ………わたしもあんな帯留めが一ツ欲しいけれども………」
とすこしふさいで
「お嬢さまはお化粧なんぞはしないとおっしゃるけれども、今日はなんでも内々で薄化粧なすッたに違いありませんヨ。だってなんぼ色がお白いッてあんなに………私も家にいる時分はこれでもヘタクタつけたもんでしたがネ、こちらへ上がッてからお正月ばかりにして不断はつけないの、つけてもいいけれども御新造さまの悪口がいやですワ、だッていつかもお客様のいらッしゃる前で、「鍋のお白粉をつけたとこはまるで炭団(たどん)へ霜が降ッたようでございます」ッて………あんまりじゃアありませんか、ネーあなた、なんぼ私が不器量だッてあんまりじゃアありませんか。」
ト敵手がそばにでもいるように、真っ黒になってまくしかける。高い男は先ほどより、手紙を把ッては読みかけ読みかけてまた下へおきなどして、さも迷惑な体、その時もただ「フム」と鼻を鳴らしたのみでさらに取り合わぬゆえ、生理学上の美人はさなくともえみわれそうな両頬をいとどふくらして、ツンとして二階を降りる。その後ろ姿を見送ッて高い男はホット顔、また手早く手紙を取り上げて読み下す、その文言(もんごん)に、
一筆示し参らせ候、さても時こうがら日増しにお寒う相成り候えどもご無事にお勤めなされ候や、それのみあんじくらし参らせ候、母事もこのごろはめっきり年をとり、髪の毛も大方は白髪になるにつき心まで愚痴に相成り候と見え、今年の晩(くれ)には御地へ参られるとは知りつゝも、何とのう待ち遠にて、毎日ひにち指のみ折り暮らし参らせ候、どうぞどうぞ一日も早うお引き取り下されたく念じ参らせ候、さる二十四日は父上の………
と読みさして覚えずも手紙を取り落とし、腕を組んでホットため息。

 

 つづく

 

 

日本原版、完整日文剧本、句句精典、一字不差、详细说明

 

 

日本原版、完整日文剧本、句句精典、一字不差、详细说明


|今日日本|都市风采|翻译专栏|人生精典|日语课程|列岛趣闻|日本电影和剧本|历史上的今天|人与社会|日语mp3|首页|

关于本站

|

联系我们

| 友情链接
日本语世界 © 2004-2006 版权所有 All rights reserved

蒙ICP备05000431号