その時歴史が動いたDVD第107回 ヒトラー最後の日~新資料が明かす独裁者の末路~希特勒最后的日子~日本NHK纪录片 

 

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その時歴史が動いた  DVD

第107回
ヒトラー最後の日
~新資料が明かす独裁者の末路~
希特勒最后的日子 

松平定知 アナウンサー
番組概要
その時:1945年4月30日午後3時30分
出来事:ナチス・ドイツの独裁者アドルフ・ヒトラーが、エヴァ・ブラウンとともにベルリンの総統官邸地下壕で自殺した日
 ナチス・ドイツの独裁者アドルフ・ヒトラーが、エヴァ・ブラウンとともにベルリンの総統官邸地下壕で自殺した日に設定しました。この日を境にドイツは無条件降伏へと大きく動き出し、ヨーロッパでの世界大戦が終結する転換点でした。  今回の番組では、ロシア連邦保安局(旧KGB)が長い間非公開にしてきたヒトラーの側近たちへの供述調書をもとに、ヒトラーが最後の日々に見せた狂気の世界に迫ります。
番組の内容について
番組中使用したフィルム映像について
番組中使用した文書史料、写真及びフィルム映像は、所蔵先の許諾を得て使用しているものです。独立した個々のシーンでも、カットによって所蔵先が異なることが多く、複雑に入り組んでいるので、各映像の所蔵先等について知りたい方は、直接担当者に問い合わせてください。
今回公開された供述調書の意義について
・今回公開された資料によって、ヒトラー最後の日々の様子が「はじめて明らかになった」のではありません。これまでも数多くの証言者や歴史家がこれにアプローチし、断片的ながらもかなり具体的な記述をしてきました。
・しかし、今回の資料はヒトラーが自殺した直後(1年以内)に尋問した結果 の供述記録です。まだ側近たちの記憶が生々しい時代に行われた供述なので、専門の研究者の間ではその信憑性が最も高いとされています。また記述の幾つかには、今回はじめて明らかにされたところもあります。
その他のヒトラー遺品について
・番組のオープニングで紹介した「頭蓋骨」や「自殺現場の写真」を保管しているのは、ロシア連邦国立アーカイブで、ロシア連邦保安局ではありません。これは、1990年代初頭、ソ連が崩壊した直後に公開されました。
・頭蓋骨はロシアではヒトラーのものと断定していますが、一部のヨーロッパの研究者で疑っている人もいます。従って、番組上では「ヒトラーのものとされる」という表現をさせていただきました。
ヒトラーの最後の日々について詳しく知るために
・今回公開されたロシアの資料に関して、その一部の供述が日本語に訳されています。
①「KGB調書 ヒトラー最期の真実」(ロシア連邦保安局公文書館編、光文社)今回の番組で紹介した供述書も、これに基づいています。今、ヒトラーの最後の日々を知る最も新しい邦語文献です。
・ヒトラーの最後を扱った本は数多く出版されてきましたが、現在、日本語の本は絶版になっているものがほとんどです。従って、古い証言や資料に基づいているものが多いのが実状です。しかし、その中で、
②「ヒトラー最期の日」(トレヴァ=ローパー著、橋本福夫訳、筑摩書房、ただし絶版) は、専門家の間でも未だに評判が高く、信頼のおける本といわれています。
・しかし、今年2002年になって出た下記の二冊は、外国文献ながら、番組でもとりあげたロシアの資料も参照して記述していますので、最新の情報が得られます。今回の番組でも、この二つを基本的にベースにしました。
③Der Untergang:Hitler und das Ende des Dritten Reiches, Joachim Fest, Alexander Fest Verlag(ドイツ語)
④THE FALL OF BERLIN 1945, Antony Beevor, Viking(英語)
・その他、以下の諸本は読みやすく、手頃な情報を得るにはよいかと思います。ただし、中には絶版となっている本もあります。
⑤「ヒトラー最後の日 50年目の真実」(エイダ・ペトロヴァ、ピーター・ワトソン著、藤井留美訳、原書房)
⑥「ヒトラーのいちばん長かった日」(福島克之著、光人社)
⑦「ヒトラー最後の10日間」(ゲルハルト・ボルト著、松谷健二訳、TBS出版会)
⑧「第三帝国の神殿にて上下」(アルベルト・シュペーア著、品田豊治訳、中公文庫)
ヒトラー最後の日々をめぐる時系列の混乱について
ヒトラーの最後を扱った本は、上記に述べたごとく数多いのですが、それぞれ時系列が異なって混乱します。例えば、ヒトラーがゲーリングやヒムラーの裏切りにあった日時、エヴァがヒトラーのいる地下壕に来た日時など、諸本で異なることも多いのです。
 これはヒトラーの最後に何らかの形で関与した人々の証言が食い違っていたり、歴史家の解釈の違いなどが主な理由です。
 今回の番組では、上記の③を最大の拠り所としました。著者はドイツで最も権威のあるヒトラー研究者であることと最新の資料を読みこなしていることが理由です。
ヒトラーの自殺の方法について
番組では、ヒトラーが自殺するまでの過程に重点を置いたので、「ヒトラーはどのように自殺したか」といういわゆる自殺方法については敢えて深い言及は避けました。最近では、エヴァは青酸カリの服毒自殺、ヒトラーは青酸カリを服毒後、拳銃で自殺したという説が最も有力で、ほぼ定説化しています。

<番組で紹介した主な史料・場所について>
ヒトラーの側近たちの供述調書
モスクワのロシア連邦保安局(=FSB)が所蔵。旧ソ連で反体制派の監視、スパイの摘発などを行った国家保安委員会(=KGB)の後身。番組で紹介した資料は、ここのアーカイブ(資料館)に所蔵されている。なお一般 には、この資料は非公開である。
ヒトラーとエヴァの結婚証明書
・プロイセン文化保護財団Bildarchiv Preussischer Kulturbesitz所蔵。
・エヴァはブラウンのBと署名しようとして、慌ててHITLERと書き直した。その右横に記されている(カメラのズームインの途中で見える)のは「旧姓ブラウン」という文字。
総統官邸地下壕のCG復元について
・THE LAST DAYS OF HITLER, Anton Joachimsthaler, Cassell&Co.に掲載されている平面 図などを参考にした。
ヒトラーの私的遺書
・プロイセン文化保護財団Bildarchiv Preussischer Kulturbesitz所蔵。
・ヒトラーはこの他に「政治的遺書」も残している。両者の詳しい内容については、 「ヒトラー全記録」(阿部良男著、柏書房)の該当個所を参照のこと。
ヒトラーの最後の命令書
・プロイセン文化保護財団Bildarchiv Preussischer Kulturbesitz所蔵。
・正確には「すぐに報告せよ。 1. ヴェンク軍団の先頭はどこまで来ている?2. いつ前進を再開する? 3.第 9 軍はどこにいるのか? 4. 第9軍はどの方面から突破を敢行するのだ? ホルステ軍団の先頭はどこまで来ている?」だが、番組では意訳させていただいた。
エレーナ・ルジェフスカヤさん
・元ソ連軍附属の防諜機関スメルシュのドイツ語通訳としてベルリン陥落の翌日(5月3日)に総統官邸地下壕を訪れた人。ロシアでは、当時の思い出を綴った回想録も出版し、現在は作家活動をしている。
ベルリンの総統官邸の一部で発見された壁画について
・ベルリンの壁崩壊後、旧東ドイツ側にあった立入禁止地帯の地下に眠っていたもの。壁近くにあり、弾薬・爆発物調査のための工事の際に偶然発見された。ドイツでは、正確には、ファーラー・ブンカー(総統付運転手が使っていた地下壕)といっている。しかし、ここも広い総統官邸の地下壕の一部であったので、番組では敢えて総統官邸地下壕の一部と表現した。
・現在は非公開。今回の映像は、1995年にロイターが取材した映像を許可を得て使用している。

<番組で紹介した主な引用について>
以下に番組で紹介した引用部分とその出典を掲げる。ただし各引用は、分かりやすさを踏まえて適宜意訳している。
ヒトラーの1945年1月30日のラジオ演説
「現在の危機的状況においても、我々は、不変の意志と犠牲心によって、この困難と危機を乗り越えるであろう。この戦争はソ連が勝利するのではない。1500年来、ヨーロッパの東の境界を守ってきた大ドイツ帝国、これから先もヨーロッパの先鋒に立つ大ドイツ帝国こそが勝利するのである。」
1945年3月19日のヒトラー焦土作戦の命令(いわゆるネロ命令)
「ドイツ国内の産業施設や交通機関を敵に利用されないよう、すべて破壊せよ。」(「ヒトラー全記録」参照)
ネロ命令の時期のヒトラーの談話
「戦争に敗北すれば、ドイツ民族は失われる。この民族が弱い民族であると実証されたからには、ドイツ民族の生活など顧慮する必要はない。」 (アルベルト・シュペーア「第三帝国の神殿にて」)
ヴァイトリングの供述
「ヒトラーが語り終えたとき、私はそれを夢のなかで聞いたような気がした。すでに 何昼夜も、私は激しい戦闘に従事していて、一つのことだけは確かだった。奇跡でも起こらない限り、あと数日で最終的破局がやってくる。弾薬の蓄えも限られ、燃料はほとんどなく、さらに重要なのは、軍隊にもう抵抗する気力が残っていないということである。」
「総統は、長い間考えにふけっていたが、やがて疲労と絶望の入り混じった声で言った。 突破作戦が、何の助けになるというのだ。包囲綱を脱出しても別の包囲網に飛び込むだけだ。自分の最期をどこかの農家か何かで待つために、地方を転々とする必要があるのか。 こうなったら、ここにとどまった方がましだ。」
「今や全てが分かった。問題なのは自分ひとりだけなのだ。この男は、防空壕の中でなるべく長く安全にいられるために、何千何万という人間を、この犯罪的な戦いの犠牲にしようというのだ。」
ハンナ・ライチュの供述
「総統の顔は真っ赤になりました。長い怒りの発作が治まったあと、総統は麻痺したように沈黙し、地下壕では誰も口を開かなくなりました。」
「エヴァは絶えず口にしていました。「かわいそうなアドルフ。みんなが彼を見捨て て裏切った。」
「全員が人間の遺体をどのようにしたら最も完全に消却できるか、議論しはじめました。」
ギュンシェの供述
「午後1時頃。私は将校たちの部屋に行った。みんな非常に興奮していた。総統が彼らに 別れを告げたのだった。しばらくして総統が来て次のように言った。私は私の死体が見せ物にされることを望まない。死後、私の死体は確実に焼却すること。」
ラッテンフーバーの供述
「もう一度お日様がみたい」そう言って彼女は庭に出て行った。そして15分後、打ちひしがれた様子で地下壕に戻ってきた。」

※以上、供述書は、ロシア連邦保安局所蔵資料より。邦訳は、「KGB調書 ヒトラー最期の真実」(ロシア連邦保安局公文書館編、光文社)を参照。


ヒトラーの「私的遺書」
「今私はこの地上での生涯を終えるにあたって、あの女性を妻にしようと決意した。すなわち、長い年月にわたる忠実な友情を守って、彼女の運命を私の運命と分かち合おうとしている女性と。私ならびに私の妻は、逃亡または降伏の屈辱を逃れるために、死を選ぶ。」 (「ヒトラー全記録」参照)
 

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