|
第135回
我が言は、万人の声
~太平洋戦争前夜、日本を揺るがした国会演説~ |
|
松平定知 アナウンサー |
|
番組概要
|
|
その時:昭和15(1940)年2月2日 |
|
出来事:衆議院議員?斎藤隆夫が、日中戦争処理に関する政府批判演説をおこなう |
一枚の録音盤から聞こえてくる、政府を糾弾する国会演説。そしてそれを打ち消そうとする怒号と罵声。演説の声の主は、衆議院議員?斎藤隆夫。太平洋戦争前夜、言論統制が進む時代に、身の危険を顧みず、軍部の政治介入、政府、議会の堕落を糾弾した国会演説は日本中に衝撃を与えた。泥沼化する日中戦争。国民の犠牲が拡大する中、事態打開の方針を示さない政府。軍部の政治介入に沈黙する政治家たち。国民の真実の声を反映させることこそ政治家の責務と考える斎藤は、戦争で疲弊する国民の気持ちを代弁すべく、国会の壇上で叫ぶ。「国家百年の大計を誤るようなことがあれば、政治家は死してもその罪を滅ぼすことはできない!」しかし斎藤を待っていたのは、帝国議会議員除名という決定。これを機に、帝国議会は形骸化し、大政翼賛体制の下、やがて日本は太平洋戦争へ突入する。なぜ斎藤は、ひとり立ち上がらなければならなかったのか。
なぜ政府、議会、政党は斎藤を見捨て、議会政治の自壊につながる除名決定をしたのか。
番組では、演説を記録した貴重な「録音盤」をもとに、戦時下、言論が抑圧され、議会政治が崩壊してゆく生々しいプロセスを検証するとともに、斎藤隆夫の気骨の政治家としての生き方を描く。 |
|
番組の内容について
|
松平キャスターのリポート場所
東京永田町にある憲政記念館の議場体験コーナーより。一般の見学可。
斎藤が政治家になった年齢
明治45年に弁護士から政治家へ転身しますが、年齢は満年齢です。以下、満年齢で表記しています。
斎藤の著書「比較国会論」
明治39年の著書で、現在、復刻版などは出ていません。
斎藤の日記(二?二六事件について)
斎藤の日記全てではありませんが、以下の時期のものについては、雑誌「中央公論」に掲載されています。
「中央公論」1990年12月号…
昭和14年12月~昭和15年3月までの日記
「中央公論」」1991年1月号…
昭和20年8月~昭和20年12月までの日記
「中央公論」1991年9月号…
昭和11年2月~昭和11年5月までの日記
斎藤の演説(二?二六事件後の軍部?政治家について)
二?二六事件後の、昭和11年5月7日第69帝国議会における斎藤の演説。一般に粛軍演説と称されています。
なお全文は、国会図書館などに所蔵されている「帝国議会議事録」に記載されています。
斎藤義道氏へのインタビュー
斎藤隆夫氏の三男にあたる方です。手にとって見ているのは父?斎藤隆夫の写真です。
インタビュー中、斎藤義道氏がお話しになった「粛軍演説」とは、二?二六事件後の斎藤の演説を指します。
斎藤の演説(国家総動員法案について)
昭和13年2月24日第73帝国議会における斎藤の演説。
なお全文は、国会図書館などに所蔵されている「帝国議会議事録」に記載されています。
斎藤の演説(日中戦争の処理について)
昭和15年2月2日第75帝国議会における斎藤の演説。
なお演説は、国会図書館などに所蔵されている「帝国議会議事録」に記載されていますが、これには削除後の演説が収められているので、後半部分がありません。全文が記載されているものには、参考文献に記した書籍「回顧七十年」「斎藤隆夫 かく戦えり」などがあります。
斎藤の演説を子供の頃、見聞きした方々
斎藤隆夫顕彰会の皆さん(兵庫県出石町)
工藤忠彦さんへのインタビュー
斎藤隆夫顕彰会のメンバーでいらっしゃいます。
インタビューした場所
斎藤隆夫記念館
兵庫県出石町中村
斎藤隆夫の没年
昭和24年10月7日 享年79(満年齢です)
●登場人物の言葉など
「比較国会論」より、斎藤の言葉
「立憲政治の究極の目的は、国民の共同意識を以て、政治の元動力と為すに在り」
「然らば現代に於ける立憲政治の理想は何れに在りやと云ふに、余は之を国会政治なりと断言せん。」
斎藤が議員除名の後に記した漢詩
「わが言は即ち是れ万人の声 褒貶毀誉は世評に委す
請う百年の青史の上に看る事を 正邪曲直 おのずから分明」
番組内で使われた資料などの所蔵先一覧
参考文献
○
「回顧七十年」 斎藤隆夫 著
中公文庫
○
「比較国会論」 斎藤隆夫 著 渓南書院
○
「斎藤隆夫 かく戦えり」 草柳大蔵 著 文藝春秋
○
「斎藤隆夫」 斎藤隆夫先生顕彰会 発行
○
「評伝 斎藤隆夫 孤高のパトリオット」 松本健一 著 東洋経済
○
「激動の衆議院秘話」 大木操 著 第一法規
○
「昭和の歴史6 昭和の政党」
粟屋憲太郎 著 小学館
○
「日本の近代5 政党から軍部へ」 北岡伸一 著 中央公論新社
○
「日本20世紀館」 小学館
|